深海刺網採集

みなさんは水族館の生きものが何処からやってくるのかご存知だろうか?
観賞魚問屋から買う。漁師さんが獲ったものを買う、ゆずり受ける。他の水族館からゆずり受ける、交換する。また、自分で繁殖させるなど、入手方法は様々だが、私が一番好きな入手方法は自家採集だ。
自家採集も釣りや潜水しての手網や巻網を使った採集、定置網採集など様々だ。
そこで、今回は先日行った深海生物採集の様子をご紹介しよう。刺網漁を営む漁師さんの船に便乗させてもらっての採集だ。
深海生物の採集は生物へのダメージを軽くするため深海と水面付近の水温差が少ない冬に行う。2月の洋上は、めっぽう寒い。しっかり着込んで夜明けとともに出漁だ!

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洋上に昇る朝日を浴びて漁が始まる。船から眺める朝日は格別だ!

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今回は水深290mの所に仕掛けた網を揚げる。

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網が揚がってくるまで、しばらく時間が掛かるが、この時も目を離せない。
水深290mに仕掛けた網を引き揚げるロープにも時々、見た事もない様な、変な生きもの(貴重な生きもの)が付いている事があるのだ。普通、漁師さんは、これを逃してしまう。商品価値がないのだから当然だ。しかし、こうした生きものも水族館にとっては宝物だったりする。これをGETできるのが、便乗採集のメリットなのだ。

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次から次へと刺網に絡まった深海生物が揚がってくる。こちらはタカアシガニ。


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こちらはアンコウ。


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ツマリツノザメなど水族館で展示したい生きものが続々と揚がってくるが、網は約1週間前に仕掛けられたもの。カニなどスレに強い生きものを除き、ほとんどが網に絡まり、傷ついて状態良く展示できるものはないのだ。網に掛かって間もない状態の良いものだけを持って帰らせてもらっている。それ以外は、今頃、誰かのお腹の中だ!

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こうして、お客さまに貴重な深海生物をお見せできるのも、いつも快く協力してくれる漁師さんのおかげなのである。

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種名タカアシガニ
学名Macrocheira kaempferi
英名Japanese spider crab
種名アンコウ
学名Lophiomus setigerus
英名Blackmouth angler
種名ツマリツノザメ
学名Squalus brevirostris
英名不詳