身近にいた消えゆく宝石

アクアミュージアム4階は世界の淡水生物を集めたエリアで南米アマゾンをはじめ世界の川、湖、沼に生息する巨大魚、美しい熱帯魚などを展示している。

先日、このエリアに国の天然記念物にも指定されている希少な日本の淡水魚が登場した。

その名も「ミヤコタナゴ」。
なんとも味のあるネーミングだが明治時代に東京都で発見されたので「都のタナゴ」というのが由来だ。

東京なんてずいぶん身近な所にいるタナゴ?と思われがちだが、とんでもない。
自然界ではもう絶滅したのではないか?といわれているほど珍しいのだ。
展示している個体も横浜市最後の個体群の一部で、リニューアルのため一時休館している相模川ふれあい科学館よりお預かりして いる大切な個体なのだ。

味があるのは名前だけではない。
繁殖期のオスは、漆黒の体に腹から腹ビレ、尻ビレにかけてオレンジ色に染まり、なんともいえない美しさと渋さがある。

20130103_tanago1.jpg

タナゴの仲間は、メスが長い産卵管を使い二枚貝の中に卵を産み付け、貝の中で孵化、成長した稚魚が出てくるという不思議な 繁殖方法をとる。
展示水槽にもカワシンジュガイという貝が同居しており、貝のまわりで美しく着飾ったオスと産卵管をヒラヒラと伸ばしたメスが優雅にダンスをしているような繁殖行動を観察することができる。

20130103_tanago2.jpg

当館では、この美しい宝石を絶やさぬよう大切に飼育し、繁殖に取り組んでいる。

種名ミヤコタナゴ
学名Tanakia tanago
英名Tokyo Bitterling
日本固有種で、かつては関東地方の湧水を水源とした小川や溜池にたくさんすんでいたが、都市開発などの 環境変化のために個体数が激減し、昭和49年に国の天然記念物に指定された。
また、国内希少野生動植物種にも指定され、採取や飼育も厳しく制限されている。
産卵期は4~7月。


種名カワシンジュガイ
学名Margaritifera laevis
英名freshwater pearl mussel
絶滅危惧種に指定されており、幼生期にはヤマメなどのサケ科魚類のエラに寄生して育つという変わった生態をもっている。
水温の低い、きれいな川に生息。カワシンジュガイという名前だが真珠がとれるわけではない。
どういうわけかタナゴたちは、他の貝には反応が悪く、この貝には卵をよく産み付ける。