【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマにした体験授業を実施します。海に関してさまざまな面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さや次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2017年度は6月から毎月1回、計10回の授業をこどもたちが体験します。

第8回 魚のふしぎ発見! 海と食卓をつなぐ研究所見学体験

【中央水産研究所の仕事内容について】

第8回シーパラこども海育塾は国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所で行われました。まず所長の中山一郎さまからのご挨拶がありました。
「中央水産研究所は全国に45か所ありますが、その中でここは一番大きな研究所です。私たちが恩恵を受けている豊かな水産物を、現代だけでなく次の世代へ受け渡していくために、どうやって持続可能にしていくかという研究が行われています。今日は楽しく学んでください。」
次に本日、講師を務めていただく業務推進課長 市橋秀樹先生から中央水産研究所の研究についてお話がありました。
まず、日本は世界で6番目の広さの排他的経済水域をもつとともに、日本の海には暖流・寒流が出会う漁場があり、沢山の美味しい魚を獲ることができます。こんな素晴らしい海の環境をもつ国として、水産の研究は重要だそうです。そこで、研究所ではその豊かな海の水産資源について調査船などを使い、私たちは大きく3つの取り組みを行っているそうです。
①資源管理(例:魚を守るためにとっていい量や時期を決める)
②環境保全(例:魚の環境を守るための調査や取り組みを行う)
③増植・養殖の研究(例:魚を増やし、育てる研究/魚を増殖、養殖する研究)
市橋先生がスライドを用いながらそれぞれの活動の様子を説明をしてくれました。環境保全のお話しのなかでみんなが「わっ!」と驚いたのは、エチゼンクラゲでいっぱいの網が映し出された時でした。映像はまるでエチゼンクラゲの漁をしているかのようです。魚たちは、次々にエチゼンクラゲにはばまれ、その巨体に押しつぶされそうでした。この異常なエチゼンクラゲの発生には、海の富栄養化や地球温暖化が関係しているそうで、市橋先生の「温暖化は生態系を壊してしまいます」という言葉に、みんなは真剣な顔でうなづいています。
研究事例の一端として、マアジやサバ類などの生育状況の調査について、黒潮予測のお話、ウナギの養殖の成功など、水産に関して幅広くあらゆる研究にチャレンジしていることを教えていただきました。
私たちの暮らしを豊かにする水産の研究所が、八景島のすぐ隣にあったのですね!

[塾生の感想]

小学校5年生 かえでさん

「お話を聞いて、海や魚についてたくさん研究していることがわかってすごいなと思いました。水産資源を守るため専門の人が研究し、それが人の役に立っていることを知りました。」

 
 
 
 
 
 

【煮干しの解剖・魚の体のしくみを調べよう!】

さて、次はみなさんが楽しみにしていた魚の体のしくみを調べようです!
テーブルの上には、煮干し(カタクチイワシ)が配られています。(カタクチイワシという名前は、下あごが小さく片方しか口がないように見えるので、そこからつけられたそうです。)煮干しのほかには、解剖する部位と臓器の名前が記してある標本用シート、つまようじ、取り出した耳石(じせき)を保存するためのパウチ資料もありました。

「耳石」とは何でしょうか?実は、この白い小さな物(耳石)を磨くと、魚の日齢(生後日数)がわかるそうです。「エ、エーッ!そうなんですか!」
「使用する煮干し(カタクチイワシ)は食用で、安全で衛生的なものです。魚にも心臓や胃などがあることを、小さな煮干しを解剖するだけで分かります。さあ、みなさん解剖を始めてみましょう!」と、市橋先生からゴーサインが出ました。いよいよ開始です。
10センチ前後の煮干しは、内臓を解剖するのにはちょうどいい大きさです。えら・かわの順番ではがしていきます。だんだんと内臓が見えてきました。眼・耳石・脳・背骨・腎臓・顎・心臓・肝臓を取り出して標本シートにテープで貼っていきます。「耳石をみつけたら声をかけてください!サンマは透明で判りにくいけど、イワシは白いから見つけやすいですよ。耳石を見つけた人は、パウチして耳石のミニ標本を作りましょう!」
「耳石はこれかな・・・・・?」の質問に、市橋先生がすぐに見に来てチェックしてくださいました。
みんなは、自分の標本完成にむけて夢中です。短い間でしたが、全員無事に耳石を見つけることができました。世界に一つだけの自分専用の標本の完成です!

[塾生の感想]

小学校1年生 そうたくん

「背骨と腎臓を見つけるのが特にむずかしかったけどすごく面白かったです。背骨は曲がっていて形がドラゴンみたいでした!」

小学校1年生 こうたろうくん

「耳石が小さくて見つけるのがすごくむずかしかったです。背骨がちょっと折れちゃいました。煮干しは食べてもおいしかったです!」

小学校2年生 ねねさん

「煮干しを触るのはちょっと苦手でしたが、細かい作業が好きなので一生懸命やりました。胃と腸の区別がむずかしかったです。」

小学校3年生 けんたくん

「体が小さいから、たくさんあるパーツを取り出すのがむずかしかったです。干しているからちょっと変わったにおいがしました。」

小学校3年生 みづきさん

「海藻みたいなにおいがしました。耳石をみつけるのに苦労しました。パウチしてもらった耳石はお友達に見せてあげます!」

小学校4年生 けんとくん

「普段から家でお魚をよく食べているから体の構造は知っていましたが、実際に解剖をやってみるとバラバラに崩れ、特に耳石が小さくて見つけるのに時間がかかりました。」

 
 
 
 
 
 
 
 
 

【研究所見学/大型水槽実験室】

解剖の後は、2班に分かれて研究所を見学しました。まずは大型水槽実験室へ来ました。養殖するためのエサの研究などを行っています。みなさんにも実際に魚にエサやりをしてもらいます。その前に先生から質問です。「人間が1日に必要な水分は何ℓでしょうか?」「3ℓ!」「そうです。よくわかりましたね。では、お魚は?」むずかしい質問のようです。「お魚には沢山のお水が必要です。300ℓでも足りない。どうしてかわかるかな?」「魚には水中に溶け込んでいる酸素が必要だからです」、正解です!よく勉強していますね。この実験室ではそういう研究もしているそうです。
中に入ると大きな水槽にブリの子供がなん匹も泳いでいます。エサを入れると元気よく次々と食べていきます。エサをやるとふだんよりよけいにぐるぐるまわるそうです。お腹が空いていたのかな?みなさん、大きな水槽にかじりついて自分たちのエサの行方を観察しました。

[塾生の感想]

小学校4年生 くおんくん

「迫力満点だった!!お魚にエサをあげたとたん、ぴゅっと取っていった!またやってみたいです!」

小学校4年生 まなさん

「食べるのが早くてびっくりしました!エサやりは初めてやったけど、またやってみたいです。」

 
 
 
 

【研究所見学/展示情報室】

展示情報室に来ました。野口館長が説明をしてくれます。こちらには資源開発調査でとった魚のはく製が80点ほど展示されています。「世界中の海で獲っててきたので珍しいお魚がいますよ!はく製は生きていた時に近い色づけをしています。」
マゼランアイナメ(メロ)、ホキといった白身魚はお弁当のおかずにも使われていて今は需要が増えているそうです。だからなおさらきちんと漁業管理をしないとお魚が取れなくなってしまいます。世界最大のイカも展示してあります。イカは皮膚が薄いのではく製にはできないのでプラスティックで作成したレプリカです。巨大なイカに驚きの声があがります。「soyos shells」(ソーヨーの貝)と書かれた貝のポスターがあります。研究所所有の漁業調査船蒼鷹丸(そうようまる)が発見した23種の新種の貝にそれぞれ「SOYO〇〇」と名前がついています。すごいですね。
ほかにも魚の食品サンプルや明治時代の文献など貴重な資料が沢山あります。「ホームページに色々な資料を公開しているのでぜひのぞいてみてください!」というお話もありました。みんなは、図鑑で見たことのある魚たちを目の前にして、興奮と感動で時間が足りないくらいでした。

[塾生の感想]

小学校3年生 あいこさん

「トラフグの標本などがおいてあるコーナーが印象に残りました。説明はわかりやすくてよかったです。」

小学校5年生 たかやくん

「図鑑をよく読むので見たことがある魚がいたけど、知らないものもいっぱいありました。ホキがフィレオフィッシュに使われているというお話にもびっくりしました。それと、クロマグロがテレビでみたよりも大きくて驚きました!」

 
 
 
 

講師からメッセージ

 

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所 所長 中山一郎さま

鉱物と違い水産物は持続的に使えば未来永劫使うことができる資源であることを知って欲しいと思います。またそのために魚介類が育つ環境をどのように管理をしているかということがお伝えしたかったことです。塾生の皆さんの好奇心旺盛な学ぶ姿勢は素晴らしかったです。今日の体験を忘れずにいてください。

 

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所 業務推進課長 市橋秀樹先生

塾生のみなさんは魚や海が大好きなことがわかりました。今の気持ちを持ち続けて、もっともっと魚を好きになって欲しいと思います。シーパラこども海育塾はお子さんはもとより保護者の方にも魚や海への理解を深めていただくことができるプログラムなのでこれからも期待しています。