【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマにした体験授業を実施します。海に関してさまざまな面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さや次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2017年度は6月から毎月1回、計10回の授業をこどもたちが体験します。

第6回 ブルーカーボンって何だろう?/ロイヤルシップ明治丸の見学

【ブルーカーボンって何だろう?/刑部先生の授業】

11月12日、東京海洋大学越中島キャンパスで第6回目の海育塾が行われました。
講師は東京海洋大学 大学院教授 刑部 真弘先生です。歴史を感じさせる階段教室で、授業が始まりました。
地球には水があり、海が生命を誕生させたおかげで金星や火星とは違い二酸化炭素を閉じ込めています。二酸化炭素はどこへ行っているのでしょうか?地球の二酸化炭素は大気に57%、森林に12.5%、そして海洋に30.5%吸収されています。海は森林の2.5倍も吸収しています。みなさんもこれまでの海育塾で学んできたと思いますが、これがブルーカーボンです。海は森林の2.5倍も吸収しているのがすごいですね。
しかし、今地球は温暖化という問題に直面しています。海に溶けた大量の二酸化炭素のおかげで、海は酸性化しています。簡単にいうと、酸性化によって海が酸っぱくなってしまうせいで、地球は非常に弱っています。
1800年代から蒸気機関車、ディーゼルエンジン、ジェットエンジン、テレビやエアコンなどの登場で暮らしは便利になりましたが、石炭・石油・電気をどんどん消費することで、大気中の二酸化炭素の量が増えてしまいました。さらに、人によって森林が燃やされ、最近では海をきれいにするサンゴが白化して死んでしまっています。その結果、地球温暖化は、熱帯の生物が本来は生息しない寒い地域にまで北上しているような異常な変化をもたらしてしまっています。どうにかしてこれをくい止めないといけません。
どうしたらよいのでしょうか?
先生のお話しは、地球が5億年かけて蓄えられた石炭や石油に頼らずにそれに代わるエネルギー開発の紹介に続いていきました。洋上風力や太陽エネルギー、再生可能エネルギーの吸収、太陽光パネルなど、沢山の新しい研究が紹介されました。将来的には海底ホテルや人工ロボットを役立てる構想もあるそうです。
先生からこんなメッセージがありました。
「未来へ向けて様々な計画があります。足りないのは実際に一緒に協力、研究してくれる若い研究者です。ぜひ、君たちの中から出てくることを楽しみにしています!」
塾生達は刑部先生のお話しを聞いて、再生可能エネルギーへの取組みが重要であることを切実に感じていました。

[塾生の感想]

小学校6年生 めいさん

「地球温暖化を防ぐため、ブルーカーボンへの理解を深めていかないといけないと思いました。温暖化の影響をいろいろと見せていただきましたが、サンゴの白化の写真が印象に残りました。温暖化のせいで、きれいなサンゴがあんなに変わってしまうことがよくわかりました。」

小学校6年生 みずきくん

「生物の進化の話が面白かったです。鯨とカバのお話が出ましたが、ほかにはどんな動物がいるか興味が湧きました。ぜひ、調べてみたいです。また地球から宇宙ステーションまでの距離が意外と近いことも知りました。東京から岐阜までの距離と聞いてちょっとびっくりしました。」

 
 
 
 

【明治丸の見学】

さぁ、次は外へ出て明治丸と資料館の見学です!
講義室を出ると目の前に大きな明治丸が見えます。晴れ渡った秋の青空に、船体の白さが美しく映えます。「きれいだねぇ」「早く乗りたい!」と声があがります。まずは、船首にきました。「ここに描かれているのは千円札と同じアカンサスという植物です!船尾にもあるのであとで確認してみましょう」と先生から説明がありました。
次に甲板に上がってマストを見上げてみました。登檣礼(とうしょうれい※注1)を行うため船員がマストの頂上まで登ると聞いて、みんなは「高い!」「こわくて登れないー!」と思わず声があがりました。
「今度は中に入ってみましょう!」先生の後ろをわくわくしながらついて行きます。
「通常の船の窓は四角ですが、ロイヤルシップの窓は丸窓です。非常に高価なものですよ。きれいでしょう?」との先生の説明に、塾生も納得顔です。船室を見学していくと、明治天皇の御座所がありました。その部屋は、御所にあるような美しい絵が展示してありました。船内には豪華なテーブルや家具が置いてあり、壁にはアカンサスの葉の飾りが施してありました。さらに階段の手すりやランプまでもが美しく装飾され、まるで明治時代にタイムスリップしているようでした。

※注1)登檣礼(とうしょうれい)/出港時に見送りにきた人に対して、敬礼と同じ最高の礼節(れいせつ)の表現。マストに船員を全員配置することで、戦闘する気はありませんという意味もあるそうです。

[明治丸について]

全長68.6m 総トン数1027.57t。1874年イギリスで灯台巡回船としてつくられましたが、明治天皇も乗船した特別室やサロンを配備した御召し船(ロイヤルシップ)としても活躍しました。
小笠原諸島が日本の領地になったのは、明治丸が日本政府の調査団を乗せ、英国船よりも早く小笠原に到着したからと言われています。現存する唯一の鉄船で、国の重要文化財に指定されています。(素晴らしい業績に大拍手ですね!)

 
 
 
 

【百周年記念資料館の見学】

資料館には大きなタービン・ポンプ・変速機構・帆船模型など、造船の技術の進歩をしのばせる代表的な本物の部品が、沢山展示してありました。まず、タービンやエンジンなどの大きさにびっくりです。大きな船を動かすにはこれだけの大きさが必要だということが実感できます。塾生に人気だったのは、鉄製の歯車を実際に動かして、変速や方向転換する模型でした。
二階の展望室では「ここからも、明治丸が上からみえますよ!ここからの景色が結構いいんだよ!」と先生。「ほんとだ!よく見える!」と次々に写真をパチリ!見るものが沢山あって時間が足りないくらいでした!

[塾生の感想]

小学校5年生 はるとくん

「船の階下の部屋で中に入ることの出来ない船室がいくつかありました。中がどんなふうになっているかとても気になりました。中を見てみたかったです!資料館ではイカリが鎖につながれて沢山ぶら下がっていました。実際に触ってみたら、重いのかなと思ったものが軽かったりその反対があったりして驚きました。」

小学校5年生 しょかさん

「明治丸の丸い窓の形をまねて、大学も丸窓にしている話が面白かったです。千円札にも書かれているアカンサスがほんとうに明治丸の船首に描かれていました。イカリの形は普通の形以外にもスクリュー型や、下が丸いものなど色々な形があって面白かったです。ロープの結び方もたくさん種類がありました。」

小学校5年生 たかやくん

「歯車の模型が楽しかった。実際にぐるぐる回してみると、ななめに回るものやそれぞれ違いがあって工夫されていることがわかりました。歯車の仕組みで、一万馬力になると書いてあって驚きました。また今まで船はイカリで止めると思っていましたが、鎖の重さで止めているという先生の話にもびっくりしました。」

 
 
 
 
 
 

講師からメッセージ

 

国立大学法人 東京海洋大学 大学院教授 刑部真弘先生

海育塾を通して、みなさんブルーカーボンについては理解を深めているようですね。今日は、海のエネルギー開発のことまで一歩踏み込んで知ってもらいたいと思いました。海を利用している道具である船についても興味をもってくれるといいですね。講義でお話したように海の中にホテルを造るといった夢を、次代を担うみなさんに実現して欲しいです。ぜひ東京海洋大学に入って学んでください。