【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマにした体験授業を実施します。海に関してさまざまな面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さや次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2017年度は6月から毎月1回、計10回の授業をこどもたちが体験します。

第4回 アマモ場の生きもの観察/海のゆりかごづくり

アマモ場の生きもの観察/海の公園・砂浜

最初に向かったのは横浜市金沢区の海の公園です。講師は横浜・八景島シーパラダイスの飼育技師・野村俊介です。
7月の第2回の授業では、アマモの飼育・研究を進めている港湾空港技術研究所を見学し、ブルーカーボンのことや、アマモ場の働きについて学びました。そこで、今日は、実際に海の公園のアマモ場を観察して、アマモ場の生きものたちの様子を観察します。
海育塾のスタッフがひき網をひいて海からあがってきました。さぁ、どんな生きものがとれているのかな?楽しみです!

【アマモ場の生きものを観察する】

講師が「みなさん、ひき網にかかった生きものを探して、バケツに移してください!」と声をかけると、みんなは夢中になって網のなかを探しはじめました。
「あっ、いるいる」「魚がいたよ」と、声があがりました。
次々と生きものが見つかりました。そして、集められたバケツの生きものたちは、水槽に移されて、野村さんの説明がはじまりました。
「これはウミゾウメンです。アメフラシの卵で、食べる麺に似ているのでこう呼ばれています。本当に、ラーメンのようですね。アメフラシはからをもっていませんが、実は貝の仲間です。体から紫色の汁を出します。クサフグは毒があるので食べてはいけません。」
「一番沢山いるのはアミメハギですね。カワハギの仲間です。小さいですがこれで大人です。」
手のひらでつかまえられそうな可愛くて小さな生きものたちが、水槽をざっと観察しただけでも10数種類以上見られました。
次に、スタッフが、海中の砂地でひき網をひきました。
その結果、小さなホヤなど、2~3種類しか見当たりませんでした。
「砂地で引いた網には生きものがあまりいませんでしたね。生きものが育っていくうえで、アマモ場がどれほど大切かということがよくわかりましたね。」
野村さんの、笑顔がかがやきました。

[塾生の感想]

小学校4年生 あおいくん

「海には危険な生物がいることも知っているので少しこわかったけど、アメフラシに触ってみました。アメフラシの体は、かたい部分や、黄土色の薄い色の部分や、黒のまだら模様がありました。」

小学校4年生 あおくん

「フグに触ったらつるつるしていました。エビやハゼもいました。お父さんと、たまにつりにいくのですが、今日は今まで釣ったことのないカワハギがいました。ちいさくて可愛かったです!」

小学校4年生 あやさん

「地引網では、アマモ場のなかからとってきた方が砂地からとったものより、生きものがたくさんいることが、実際に観察してよくわかりました。」

小学生5年生 かえでさん

「海藻が多くて最初は魚が見えなかったけど、かき分けたら小さい生きものがたくさんいました!」

 
 
 
 
 

【海のゆりかごづくりとこどもたち】

次に海の公園・管理センターで、「海のゆりかごづくりとこどもたち」のお話を聞きました。講師は、海の公園のアマモ場作りに当初から関わってきた、元横浜市立金沢小学校教諭の坂田邦江さんです。講義では、水中に咲くアマモの花や種の様子、海の公園でのアマモの移植活動に取り組んだ「西柴アマモ隊」の活動、海の公園の埋め立ての歴史などのお話を、スライドで分かりやすく説明してくださいました。
「アマモ場は、いろんな生きものが生まれて育つ『海のゆりかご』と呼ばれています。金沢区では1971年から金沢の埋め立てがはじまり、昔はたくさん見られたアマモ場が全滅してしまいました。自然の海を私たちは失ってしまったのです。そこで2003年から、もう一度海に命をよびもどそうと、沢山の人たちが集まって、海の公園へのアマモの移植活動が始まりました。地元の小・中学校、高校、大学そして研究者や企業などたくさんの人たちが力を合わせて取り組みました。当初、アマモ場を取り戻すのにどれくらいの時間がかかるか、全くわかりませんでした。しかし、私たちはわずか7年でそれをやりとげることができました。このように、一人ではできないことも、みんなで力を合わせれば実現できることを学びました。それを『協働』と言います。大切な言葉です。ぜひ、覚えてください。それだけ私たちの『協働』の成果は、大きかったということですね。」
「現在、地球はいろいろな問題を抱えています。大きなことは地球温暖化問題ですね。そこで私たちに出来ることはなんでしょうか?・・・海育塾では、自分たちで出来ることを考え、行動していこうという目標をもって、授業をしています。ですから、みなさんも身近なことで、出来ることをなにか見つけて欲しいと思っています。最後の第10回の海育塾では、体験発表会を予定しています。みなさんのチャレンジを楽しみにしています。これからの海育塾でも、地球の未来に自分たちが出来ることを、一緒に考えていきましょう!」
海の公園が人工の海だったとは・・・!
教室には、塾生のみなさんの驚きと感動の空気が、流れていました。

[塾生の感想]

小学校5年生 としかずくん

「ブルーカーボンのことは海育塾にきてから覚えました。今日のお話でアマモ場が一度なくなったことを聞いて、お魚の住むところがなくなったことやいろんな弊害がでたのは大変だったと思ったけど、今はアマモ場が増えてほんとうに良かったと思いました。」

 
 
 
 
 

【生きもののスケッチ】

最後に、海から採集してきた生きものをスケッチします。「からだの大きさ・ひれのかたち・目・エラをまず観察して、それぞれの魚の特徴をよくみてみましょう!同じ魚でも色が違ったりしますよ。」と野村さんから描くポイントの説明がありました。
さて、どのお魚を描こうかな?塾生のみなさんは、いっせいに水槽をのぞきこんでいます。正面からみたり横から見たり、とても楽しそうです。持ってきた色鉛筆やクレヨンで色も塗ります。お魚をよく見ていますね。生きものの特徴をとらえ、たくさんの素敵な絵が出来あがりました!

[塾生の感想]

小学校3年生 けんたくん

「クサフグを描いたのは小さくてかわいいからです。驚いたような顔をしています。泳ぐときは尾びれがちょっとひらきます。」

小学校1年生 こたろうくん

「ヒメイカはちっちゃくてかわいいです。頭が大きくて体がすきとおっていました。ヨウジウオはしっぽがくるっと曲がれば、タツノオトシゴに似ているなぁと思いました。フグも描いてみました!」

小学校4年生 まなさん

「クサフグを描きました。色や形がジンベエザメに似ていたからです。小さい緑のアミメハギを触りました。実際に海からとってきたお魚を触ったのは初めてですごく楽しかったです。」

小学校5年生 かえでさん

「個性的な顔をしているものや深海生物のような変わった形をした魚に興味があります。水槽を観察していたら大きな魚が小さな魚を食べてしまっていて、あまりにもびっくりしたのでその様子を描きました。」

 
 
 
 
 
 
 

講師からメッセージ

 

元横浜市立金沢小学校教諭 坂田邦江さま

アマモの働きはこれまでの海育塾でも学んできましたが、今日はアマモ場を育てることに関わってきたこどもたちがいたということを知って欲しいと思い、そのお話をしました。塾生のみなさんも、未来のために自分にできることにチャレンジしていく大切さを学んで欲しいと思います。私たちの海育塾が、その後押しができたらいいなと思います。また、ブルーカーボンなどの知識をきちんとこどもたちに伝える場として、これからも活動していきたいと思います。

 

横浜・八景島シーパラダイス 飼育技師・学芸員 野村俊介

今日はアマモ場から採れた生きものを実際に見て触って観察しました。海にはいろいろな生きものがいます。それが私たちの暮らしにも関わっているということに気づいてもらえたらと思います。また海の公園のアマモ場の復活は、成功例として全国的に知られています。生命の豊かさにふれ、多くの人が努力をすれば海は回復する。そういうことも学んでほしいと願っています。