【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマにした体験授業を実施します。海に関して様々な面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さや次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2017年度は6月から毎月1回、計10回の授業をこどもたちが体験します。

第2回 豊かで安全な海をつくる海と空の研究所探検ツアー

横須賀市にある国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所を訪ねました。ここは港湾や空港の整備をはじめ沿岸や海洋に関する、日本を代表する世界水準の研究所です。講師は、ブルーカーボンに関するアマモ研究で世界的発見をされた桑江朝比呂先生です。
日焼けした顔に、白い歯が輝く桑江朝比呂先生の授業が、さっそく始まりました。
「まず今日はブルーカーボンという言葉を覚えてくださいね。地球温暖化を防ぐうえで役立っているアマモもあとで見てもらいます。そして、今日の経験がいろいろなことに興味を持って勉強するきっかけになってくれればいいと思っています。これから五つのプログラムを用意しているので体力が要りますよ!みなさん、頑張ってくださいね。」
研究所の紹介ビデオが終わると、さっそく外へ出て実験施設にむかい今日の授業のスタートです!

 
 

【体験その1 貝パワーを観察しよう】

貝は海水をきれいにするパワーがあるのでしょうか?それを調べるために、実験が開始されました。まず、同量の海水が入った3つの水槽を用意します。さらに各水槽に、同量の汚水をスポイドで加え、汚れた海水をつくります。一つ目の水槽には何も入れず、二つ目の水槽には、アサリを数個入れます。三つめの水槽にはムラサキイガイを数個(アサリと同数)入れます。また、各水槽にはエアーポンプを設置し、ようすを観察します。これで準備オーケーです。
「どの水槽が、一番きれいになると思いますか?」という桑江先生の質問に、
塾生のみなさんからは、「アサリ」という声があがりました。
果たして、その結果は?楽しみですね。
約2時間後に戻ってみると、アサリの入った水槽がとてもきれいになっていました。「たった2時間で汚れた水がキレイになるなんてスゴいな」という声があがりました。アサリの水の浄化作用に塾生のみなさんは、驚いたようです。ムラサキイガイも濁りが少し薄くなっています。貝の力が海きれいにするうえで役立っていることがよくわかりましたね。

 
 

【体験その2 津波パワーを見学しよう】

津波の威力を目の前で見ることができる「大規模波動地盤総合水路」を見学します。水路は、7メートルの高さのコンクリート壁で囲まれていて、奥にある水中振動台(地震を発生させる装置)で波を作り、津波を起こす仕組みです。
波がどんどん近づいてきました。どうなるのか、塾生のみなさんは、じっと見守っています。1.5mの波が振動台にぶつかり、バッシャーン!!と、10メートルをこえる波しぶきがあがりました。思わず「わぁっ!」と声があがりました。
所員の方から、東日本大震災の時の津波は今日の10倍でしたと説明があり、恐ろしくてぞっとしました。さらに波の力で、厚さ6mのコンクリートに簡単に穴があいてしまった実験映像から、津波の威力や怖さを学びました。
「津波がくるまえに、高いところに逃げる」ことが第一であることを改めて感じました。

[塾生の感想]

小学校3年生 みづきさん

「初めてこういう装置をみたのでびっくりしました。」

小学校5年生 りゅうじろうさん

「津波ってこんなに高さがあるんだなぁと、実際見てわかりました。」

小学校5年生 あすかさん

「津波実験で水がびっくりするほど上がったのをみて、震災の時はもっと高い波がきて家が壊れてしまった映像を思い出しました。自分の住むまちに来たらと思うとすごく怖いです。この施設も何回か天井が水の力で壊れてしまった話も聞いて、改めて津波の怖さを知りました。」

 
 

【体験その3 海中ロボットを操作しよう】

海中ロボット水槽で、本物の遠隔操作型ロボット「ROV」を使い、操作に挑戦です。ここでは、人の代わりに海底で長時間作業するロボットの開発や、実験などをしています。ゲームのコントローラーのようなレバーを操作して手元の水中画像をみながらロボットを誘導します。
「けっこうむずかしい!」「水中の様子がモニターに映っているよ!」とみんな夢中で操作しています。とても楽しそうです。この体験は、研究所の一般公開日にはない特別なプログラムだと分かり感動です。塾生の一人ひとりに丁寧に操作を指導してくださった所員さんに感謝、感謝です。

[塾生の感想]

小学校1年生 そうたさん

「ものすごく楽しかったです!何回でもやりたいです!!」

小学校5年生 りゅうじろうさん

「ふだんはゲームをあまりやらないけれど、すごく楽しめました!どちらかと言えばモニター操作より、実際にロボットを動かす方が楽しかったです!」

 
 
 

【体験その4 アマモのはたらきを観察しよう】

「メソコスム実験水槽」でアマモの観察をしながらお話を聞きました。アマモは浅瀬に生える海草(うみくさ)で、海にとけた二酸化炭素を吸収して海の浄化に役立つ植物です。「アマモからぷつぷつと気泡が出ています。なんだかわかりますか?」という質問に、塾生は「酸素です!」と答えました。正解です!すごい!
つづいて、「海草のアマモは、海水中でも光合成を行っているのです。葉では、酸素や炭素を作り、炭素は葉に保存されます。葉は枯れて海底に沈み、海底に保存された炭素を、ブルーカーボンと呼びます。海を保全するために大切なブルーカーボンという言葉を覚えましょう。」
森林でつくられるグリーンカーボンに対して、海でつくられるブルーカーボンを、しっかり学びました。

[塾生の感想]

小学校3年生 げんとさん

「アマモの大きさは、自分のひざくらいなのかなと思っていましたが、大きくてびっくりしました。」

 
 

【体験その5 海の生きものを観察しよう】

研究所では、干潟の研究もしています。人工の干潟には渡り鳥の「トウネン」がいます。日本で飼育をしているのはこの研究所のみです。小さいので双眼鏡で観察しました。「あ!見えた!」「ちいさくてかわいい!」と声があがります。「トウネン」が干潟に与える影響などを調べて3年半だそうです。
「実験用の人工の干潟は、久里浜の海水を週三回入れ替えており、その海水中には魚介類の卵や様々な栄養が含まれているため、トウネンたちは、人がえさを与えなくても、この干潟だけで暮らすことができていることが分かってきました。このように自然に近い状態にすれば、いい干潟が育つことにつながります。」と。先生からお話がありました。

タッチプールには、干潟の生きもののアサリ、ハマグリ、カガミガイ、三種類のカニ(マメコブシガ二・オサガニ・コメツキガニ)がいました。カニはみんなの人気者です。手に取るとぶくぶくと泡(あわ)を出してとてもかわいかったです。塾生のみなさんは暑いのも忘れて、時間いっぱい観察しました。

[塾生の感想]

小学校5生 はるとさん

「楽しかったです。川や海があるおばあちゃんの家に家族で行ったときに、カニや魚を自分で捕ったりするのが大好きです。だから、今日はカニに指を挟まれたけど全然平気でした!」

 
 
 

講師からメッセージ

 

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 
沿岸環境研究グループ長 桑江朝比呂さま

海の豊かさは私たちに美味しい食物を与えてくれますが、海には津波を起こす怖さもあります。今日見てもらった津波実験は全国でも珍しいので、実際にみていただいて津波の怖さを知って欲しかったですね。またアマモの観察や海の生きものとふれあうことで、もっと海に興味をもって、次はみなさんが自分で海に行って観察してくれたら嬉しいですね。