【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマとしたプログラムを提供します。海に関して様々な面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さを学び、次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2016年度は6月から毎月1回、計10回の開講予定です。

第6回 東京湾でとれる魚のひみつ 漁港のしくみを調べよう

東京湾のアナゴ筒漁について学ぶ

横浜市には柴、金沢、本牧の三か所に漁港がありますが、今回は柴漁港での活動です。講師は横浜市漁業協同組合理事の斉田芳之さんです。斉田さんは、先祖代々700年漁業を営んできた漁師の14代目。柴漁港では底引き網漁をはじめアナゴ筒漁、はえなわ漁、刺し網漁などが行われています。斉田さんは、アナゴ筒の仕掛けを研究して、改良したアナゴ筒漁を東京湾に広めた第一人者といわれています。
柴漁港ではタチウオ、スズキ、イカ、エボダイなど多くの魚が水揚げされますが、一位はアナゴです。通称「小柴のアナゴ」は、お寿司のネタとしても大人気です。
アナゴ漁はアナゴ筒という長さ80㎝太さ10㎝の塩化ビニールの筒を使用します。イカやイワシなどのエサを入れ、一度入ったら出られない仕組みになっています。これを海中に30メートル間隔で仕掛けて、引き上げるわけです。エサの匂いにさそわれて筒にはたくさんのアナゴが入ってきます。アナゴは狭いところで肌を寄せ合っているのが大好きで安心する。そういうアナゴの習性を利用して考えられたアナゴ筒漁は、今や東京湾全体で用いられているそうです。

海の資源を守るための漁師さんの取り組み

斉田さんが実際に漁で使うアナゴ筒を見せてくれました。筒には小さな穴が開いています。なんの穴でしょうか?これは、水抜きと同時に、筒に入った小さいアナゴ(稚魚(ちぎょ))が逃げられるように工夫されています。成長したアナゴだけをとって、稚魚は逃がす仕組みは、資源管理を考えて、斉田さんが始めた新しい取り組みです。
「実験の結果、一つの筒に13ミリの穴を15個以上開けることにしました。」というこの方法は、今では神奈川だけでなく千葉や東京の漁師さんたちにも理解され、東京湾全体のルールになっているそうです。
このほか、自然の恵みである魚を守るために、漁をお休みにする日を決めたり、稚魚を放流したり、様々な取り組みを行っているそうです。
「環境改善もそのひとつです」と斉田さんが強調しました。
「魚の美味しさはエサで決まります。そしてそのエサの豊かさは、海の環境次第です。金沢区の地元の人たちが、金沢の海を豊かな海にするために協力してアマモ場をつくったように、みなさんも自然の大切さを理解し、出来ることを考え、行動していくことが大切です。」
と先生が呼びかけました。

 
 
 

[塾生の感想]

小学校4年生 まひろさん

「アナゴの筒はいろいろな工夫がされていることがよく理解できました。」

小学校6年生 ゆいこさん

「私はイルカの調教師になるのが夢で、お魚が大好きなのでいろいろなことを見たり聞いたりできる海育塾はすごく楽しいです。今日のお話しもすごく勉強になりました。」

東京湾のさかなにタッチしよう!

斉田さんが今朝、漁でとってきたアナゴ、タコ、ヌタウナギがそれぞれの水槽に入っています。
「さぁ、次は実際に魚にさわってみましょう!これは貴重な体験になりますね。」
斉田さんのかけ声で、塾生のみんなは、ワーッとあっという間に水槽を囲みました。

タコは、勢いよく動き回っています。
ヌタウナギは、粘液を出して体表はドロドロです。外敵から身を守るためだそうです。さわるとどんどんヌルヌルがでてきてつかみにくくなっていきます。
「ヌルヌルがすごい!」
「目がないの!?」
そうです。ヌタウナギの目は退化してしまって外からは見えなくなっています。
水槽には、アナゴ筒が入っています。
斉田さんが「筒からアナゴを出してみましょう!」と筒を持ち上げると、アナゴが勢いよく出てきました。意外にも沢山のアナゴが出てきましたよ。他の筒からもアナゴを出しました。40~50㎝はある立派なアナゴです。
驚いた塾生のみんなは、駆け寄りました。
「持ってみたい!」と持ち上げると、ヌルヌルしていて、「あぁっ!」と言う間に水槽からアナゴが飛び出してしまいました。慌てて水槽に戻そうと思っても、今度はうまくつかめません。丸々と太っていて、すごく大きいアナゴ。どこをつかんでいいかわかりません。
いくら時間があっても足りないほどの楽しいひとときに、みんなの笑顔がはじけました。

[塾生の感想]

小学校2年生 みさきさん

「ヌタウナギはヌルヌルしていたけれど、ちっともこわくなかったです。」

小学校3年生 まさきくん

「タコの吸盤がすいついてきた。一匹だけすごく強い力のタコがいておどろきました。」

小学校5年生 せいまくん

「アナゴが筒の中に予想以上にぎゅうぎゅうに入っていておどろきました。さわってみたらヌルヌルしていてびっくりしました。」

小学校6年生 あゆむくん

「アナゴに触れて楽しかったです。しっぽから筒の中に入ることを知りました!ヌタウナギはヌルヌルしていて自分はちょっと苦手かな。」

 
 
 
 

漁港施設の見学

さて、最後に漁港内の施設を見学します。柴漁港では日曜日にはとれた魚の直売を行っており、週末にはおいしいアナゴ丼を食べられる食堂「どんぶり屋」もオープンしているそうです。

岸壁近くに、なにか台のようなものが置いてありました。
「これは船台というものです。」と斉田さん。漁船のメンテナンスを終えたら、船をスムーズに浸水できるよう傾斜のある場所に造られています。船はメンテナンスをすることで燃費がよくなり、速度も一割位あがるそうです。

次に冷凍庫に向かいました。
「すごく寒いので、寒さが苦手な人は外で待っていてください。」と斉田さん。
「大丈夫です!」と声があがりましたが、実際に入ると「さむ―い!!」と震えあがってしまいました。それもそのはず、冷凍庫の中はマイナス20℃。
「ここはサバを釣るためのエサであるイワシを保管しています。漁をする上でエサの鮮度はとても大切なのでマイナス20℃以下で保存しているんですよ。」という説明に、みんな納得!
ふだんは味わえない寒さを体験して、みんな驚きと感動の一日でした。

[塾生の感想]

小学校4年生 まひろさん

「冷蔵庫はすごく寒くて、体が震えるほどでした!でもいい経験だと思いました」

 
 
 

講師からメッセージ

 

横浜市漁業協同組合 理事 斉田芳之さん

みなさん魚をよく観察していましたね。今日のような「体験」というものがすごく大事だと思います。実際に魚に触れた感触や反応など、一つでも心に残ってくれればと思います。また、お魚が美味しいということはエサがいいということで、エサの良さはエサが育つ環境がいいということ。環境を整えることで豊穣(ほうじょう)の海になることを小学生のうちから考えて、魚を好きになってくれればと願っています。