【シーパラこども海育塾とは】

小学生を対象に、海とふれあい、海とともに成長していく「海育」をテーマとしたプログラムを提供します。海に関して様々な面から学び、生きものへの関心はもちろん地球環境にも目を向けるプログラムで、命の大切さを学び、次世代を生き抜くライフスタイルや行動を身に付けることを目的としています。2016年度は6月から毎月1回、計10回の開講予定です。

第5回 ブルーカーボンって何だろう ロイヤルシップ明治丸の見学

ブルーカーボンって何だろう/刑部先生の授業

第5回目の海育塾が10月30日に東京海洋大学で行われました。

 
 

講師は東京海洋大学 大学院教授 刑部 真弘先生です。先生が「ブルーカーボンを知っている人!」とたずねると一斉に手があがりました。「お!凄いね!それでは今日はブルーカーボンについての知識を深めていきましょう。」と、授業が始まりました。
地球と金星、火星のスライドが登場しました。これらは同じ成分の兄弟星ですが大気中の二酸化炭素の量が違います。金星は96%、火星は95%、それに比べて地球は0.04%です。金星の表面温度は400℃もあります。火星はマイナス55℃です。地球は私たち人間がとても過ごしやすく素晴らしい環境があります。ほかの星と何が違うのでしょうか?

 

驚いたり、感心したりしながら、塾生から次々に声が上がります。「そうです、地球には海があって水があります。海が生命を誕生させて二酸化炭素を閉じ込めているんですよ。地球の二酸化炭素は大気に57%、森林に12.5%、そして海洋に30.5%吸収されています。海は森林の2.5倍も吸収しています。すごいですね。これがブルーカーボンです。」

環境を守る大切さや自然エネルギーの活用について学ぶ

「大気や森林や海洋が二酸化炭素を吸収してはいますが、温暖化の問題が起きています。海も二酸化炭素によって酸性化し、だんだん酸っぱくなって魚が住みにくくなっています」と先生が教えてくださいました。

 

1800年代から蒸気機関車、ディーゼルエンジンなどの開発や、テレビやエアコンなどの登場によって、石炭、石油、電気をどんどん消費する時代になり、地球上の二酸化炭素の量も増えていきました。その結果、森林が減ったり、海を守るサンゴが死んでしまったり、地球は今とても弱っています。
先生は続けて話してくれました。「森を守ったり、海をキレイにしたりすることも大切です。また地球が5億年かけて蓄えてきた石炭や石油ばかりに頼らずに、太陽光発電などの新しいエネルギーの活用も温暖化を防ぐうえで大切です。先生はこうした新しいエネルギーを研究しながら、それを活用した水中ロボットが活躍する海洋牧場や海底ホテルなどの計画を進めています。」地球の未来を見つめてブルーカーボンの研究に取り組む刑部先生から、とても有意義なお話しを聞くことができました。

[塾生の感想]

小学校4年生 しょういちろうくん

「海の大切さがわかりました。先生が研究する海底ホテルが完成したら行ってみたいです。」

小学校5年生 ももかさん

「サンゴが“褐虫藻”と共生し、魚を守り、海を守っていることが興味深かったです。」

明治丸の見学

さぁ、次は外へ出て明治丸と資料館の見学です!

 
 
 
 

講義室のあった校舎の目の前に広場があり明治丸が展示してありました。日本の重要文化財である日本最古の鉄船明治丸は、全長68.6mの大きくて、とても美しい白い船です。ロイヤルシップと言われる由来の通り、明治天皇の御座所、公室、寝室も設計されていました。船内は豪華なテーブルや家具、美しい曲線の階段の手すり、ランプまでも見事な装飾がされています。ビロードのソファーにみんな次々に座って、はいポーズ。
甲板へ出ると、頭上には高いマストが見えます。「のぼりたい!」という声があがります。「こんなに高いんだよ」と、刑部先生がマストの上から撮影した写真を見せてくださいました。遥か下に甲板がある凄い高さにビックリ!
出港する時は、船員が全員帆に上り、見送りに来た人に登檣礼(とうしょうれい)というお礼をするといったお話を、みなさん興味津々で聞いていました。

[明治丸について]
長さ73.8m 幅8.9m 総トン数 1037.2t。1874年日本政府の発注でイギリス・グラスゴーにて建造。灯台巡回船としてつくられましたが、明治天皇も乗船し、特別室やサロンを備えたロイヤルシップでもあります。
小笠原諸島の領地問題時には日本政府の調査団を乗せ英国船よりも早く小笠原に到着した業績もあり、また関東大震災では被災した多くの人々を収容し災害救援にも貢献しています。重要文化財に指定されています。

百周年記念資料館の見学

資料館へ場所を移動します。入り口には大きな錨(いかり)の展示がありました。大きな船を停泊するためには海の中に錨(いかり)と鎖(くさり)を降ろします。外からは見えないけれど錨(いかり)は大変重要な役割をしているそうです。資料館には船に関する多くの展示物がありました。

 
 

みなさんの身長より大きなタービンにビックリ!巨大な船を動かすにはこの大きさが必要なのですね。ディーゼルの模型・油圧式操舵装置模型など見たことがないものがたくさんありました。なかでも変速機構が大人気。鉄で出来た軸に手動で歯車を動かせるようになっていて、皆、ぐるぐる回して仕組みを考えていました。このほか電波航法器や通信機器類など実際にふれることのできる装置やコンパス、大小の様々な錨(いかり)、羅針盤、海図や信号灯などを、飛び回るように見学していると、あっというまに時間が経っていました。興奮はおさまらず、「ああ、もっとみたい」そんな声も聞こえてきました。

 

[塾生の感想]

小学校1年生 まさとくん

「船や海が大好きなのでワクワクしました。明治丸のイカリがすごく大きくてびっくりしました。またここに来てみたいです。」

小学校1年生 ななこさん

「船のタービンが大きいことにおどろきました。見るだけでなく機械のスイッチなどを動かせたのでとても楽しかったです。」

小学校5年生 ひとみさん

「いろいろな機械や装置にさわれて面白かったです。船員さんになった気分でした。」

講師からメッセージ

 

国立大学法人 東京海洋大学 大学院教授 刑部真弘先生

まずは、「ブルーカーボン」という名前を覚えて、それが環境にどういう役割をしているかを考えて欲しいと思います。みなさんとても反応がよく、勉強をされているのがよくわかりました。実は、10年前にみなさんと同じように講義を聞きにきた女の子が、東京海洋大学で学び、今では船に乗って全世界を旅して活躍しています。塾生のみなさんも、これからも海に興味をもって歩んでいってほしいと願っています。